『バイオマスエネルギー視察ツアー』で新潟に行ってきました!

最近、森とかエネルギーとか地域づくりとか、そんなことばかり書いているので、うすうす感じてもらっていると思うけど、農業一本から活動を広げようとしているのです。

ということでエネルギー兼業農家を目指す先輩、南阿蘇のエリさんが理事をされているNPO法人田舎のヒロインズが主催のバイオマスエネルギー視察ツアーに参加してきました。

今回、僕の住む富士町にふるさと創生事業といって視察や研修への助成制度があったので、申請して補助をいただきました。ということでその分報告も兼ねて。

新潟に行って3大驚いたこと

  • 旅館のお布団のシーツが足の方が織り込まれてない、わざと??
  • 旅館の食事で、固形燃料でその場で米を炊く!!
  • 田んぼに普通に白鳥がいる!鷺に比べて分厚い!!

は置いといて、最初は「おらってにいがた市民エネルギー協議会」の皆さんにお世話になりました。市民で立ち上がって発電所を作ってしまったのです。今3ヶ所稼働中で、全部で22ヶ所近々完成予定。全部で1MWほどになるらしい。市民メガソーラー。固定価格が下がってしまったけど太陽光ならではのスピード感です。市街地という制約もあるしね。新潟市とは良好な関係で、市の施設の屋上もかなり提供してもらってる。お金もきちんと融資を受け、さらに市民ファンドを募って集めるとのこと。すごく参考になりました。

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続いて新潟の北部、村上市に移動して瀬波バイオマスエネルギープラントの視察。地図見て知ったけど、村上市は海岸が南北に伸びているので地平線が真西。夕日で有名な温泉地でした。とは言っても日本海。冷たい風が吹き付けるその海岸べたに立っているハウスで育っているのは南国フルーツ。最初はすごく違和感を感じたけど(頑なな有機農家の悪い癖)、その温泉街から出る生ごみ等々を集めてメタン発酵させ、その熱で南国フルーツでもなんでも育てられるのを証明しようと、わざとそこに建てたと知りそのチャレンジ精神にビビりました。

バイオガスプラントは実は親しみがあって、福岡県大木町のまちぐるみでやっているのは何度も見たし、近所の三瀬でも知り合いが個人で作っておられるけど、そのちょうど中間というか、処理業者としてゴミを回収し(お金がもらえる!)、それで自分で開発した最高水準のメタン発酵槽でメタンガスを作り、そのガスで発電し売電(1kwh39円)、同時に取り出せる温熱で南国フルーツを栽培し東京に高値で出荷し、更に自分でジェラート屋まで経営し、おまけに副産物としてできる液肥を売ったり、自分の農地で使って米も30hほど栽培したりしているという形態。目のあたりにするとその実現力があまりにすご過ぎて呆然としてしまうけど、とにかくそんなことが出来てしまう人が存在するのも現実。そんなすごい方なのにとても気さくで、ひねくれものの僕でも畏敬の念を禁じ得ない。自分は到底同じことは出来ないけど、真似ならできるかもしれなくて、そんな人のためにプラントから運用までパッケージでコンサルしてもらえるそうで、すでに何ヶ所か取り組み始めているそう。

メタン菌の餌になるものを地域で集められるか心配していたら、それも解決積み。飼料作物を育てて投入すればいいらしい。サツマイモが最適。もうね、そこまで手を回してもらっていたら農家としてはやるしかないじゃないかと思います。

2日目は阿賀町に移動。まずはペレットボイラーが設置してある町営の保育園にお世話になりました。ピカピカの校舎とボイラー室。数年前に建てた時にペレットボイラーを導入したそう。思ったより施設は大きくて複雑。暖房冷房給湯まで阿賀町産のボイラーでまかなっている。これって本当にすごいことだと思います。いろいろと課題もあって、煙に対する苦情には新たに装置をつけないといけなかったし、職員の方に使い勝手を伺うと、多少融通の聞かない面があるとのこと。でも子どもたちはうれしいと思うなぁきっと。

それから、まさにそこで燃やされていたペレットを作っているペレット工場へ。4億3千万をかけて作られた大型工場。毎年100haずつ間伐しても大丈夫な、道も整備された森林があって、年間1000tのペレットを製造可能。そのためには3000t集めないといけないそう。現状ではペレットの需要の問題もあって2/3ほどの稼働率だそう。ただきのこ栽培の菌床用におが屑も販売していてペイしているそうです。雑木林も残っているそうでうらやましい。

ペレットはまず自然乾燥させた丸太を削っておが屑にして、一部おが屑を燃やした熱で乾燥圧縮してペレット化します。なにも混じってないのは安心ですね。ただそもそも材木が廃材だったりするので、安いのは怪しいそうです。まして輸入物なんて本末転倒です。大型工場は初期投資の問題や稼働率の問題で、全国で見ると失敗例が多いみたいですが、きちんと森林を守ろうとしている行政とがっつりなら成り立つのではと思います。何しろ間伐材を持ってきている森林組合の作業員が倍増したとのことだったのでいい流れができていると思います。町内では保育園のほか福祉施設や温泉施設でもペレットボイラーが使われていて、家庭用のストーブも半額補助(最大10万)もあって導入が増えているそうです。灯油からペレットに変えたら、肌も髪も艶が良くなるという話で、女性が眼の色を変えていました。

バイオマス発電で木を直接燃やして発電するのは、買取価格が高いこともあって今建設ラッシュが起きていて、木材価格や森林維持の面で問題になることは誰もが分かっているみたい。明らかなFITの弊害ですよね。調整するのは誰の仕事なのでしょうか?

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薪も販売されている

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1軒分の目安はこの3区画

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きのこ狩りができる施設

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きのこが主役のBBQ

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おいしかったけど、当面きのこはいいかなぁ

いったんツアーの公式行事は終了し、鞄持ちとしてNPOの皆さんに同行。岩室温泉に向かいました。温泉ばかりで贅沢ですが、このほてる大橋館の湯もただの旅館ではなくペレットボイラーを導入されているので選ばれたのです。翌朝業者の方に来ていただいて施設の見学をしました。

旅館を後にして飛行機までの時間、日本一のペレットストーブ製造会社さいかい産業さんへ。いきなり社長がペレットピザ窯でピザ焼いて歓迎してくださいました。製造工場では大量生産すること、シンプルな仕組みにすることで価格を下げてとにかく普及させることを目指されています。もともと専門家でもないのにストーブの開発をされていて、量だけでなく性能も一番とのこと。それよりなにより古川さんのお人柄がステキで惚れてしまいました

製造工場、ご自宅、会社を見せていただいて、最後にあおぞらポコレーション。小さな工場で利用者さんたちが真剣に仕事に取り組まれていました。古川さんが50台ペレットストーブを作って売ると、ペレット製造に関わる仕事が成り立ち、森が活かされ、お金が外に出ていくことも無くなりよかろうもんと。理屈じゃなくて、楽しく実現されていっているところがステキです。規模感も手が届きそうで参考になります。

以前からエネルギー問題はデカイ話も含めて興味あったけど、今は自分自身が食料の自給は(いちおう)できたけど、エネルギー代がかかるよね、という不満あって、ならエネルギーも自給できたらいいよね。そしたら地域もうるおって、そして仲間が増えたら楽しいよねーという動機が一番です。

それを理屈っぽく大きな視点で見たら、エネルギー収支が改善すること=地域全体も自立して循環型になること。そしたら社会全体も少しいい方向に向くのはないかということです。その条件、環境は整っているからあとはやるだけだと確信出来た視察でした。

同時にやっぱり人だよなぁと。楽しくない人とか集まりの特徴は、決めつけ、押し付け、あきらめ、先入観、思考停止。暗くて、重くて、沈んでいく感じ。そういう雰囲気だと結局なにやっても駄目になるんじゃないかな。新潟ではその真逆の人たちに会えてずっと気持ちが良かったです!

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